2026.9.22
「その示談、ちょっと待って」交通事故の治療中に確認したい3つのこと|真岡市の方へ

「保険会社から示談の連絡が来たけれど、まだ首や腰が痛い」。そんなときは、署名や返事を急ぐ前に、いったん立ち止まって確認してほしいことがあります。
交通事故のあとは、通院、仕事の調整、車の修理、警察や保険会社とのやり取りが重なります。少しでも早く日常へ戻りたいと思うのは自然なことです。ただ、示談は単なる事務連絡ではありません。何について、どの範囲まで解決するのかを当事者同士で合意する大切な手続です。
真岡市から駅東ラッコ整形外科クリニックへ通院している方、転医を検討している方にも、「治療が終わる前に示談してよいですか」と相談されることがあります。この記事では法律相談ではなく、整形外科の立場から、治療中に確認したいポイントを分かりやすく整理します。
- 示談書は、対象となる損害と解決条件を読んでから判断しましょう
- 首や腰の症状が残るなら、現在の状態と治療の見通しを担当医へ確認しましょう
- 医療機関は診療と医療記録を担当し、示談金額や法的な有利・不利は判断しません

そもそも「示談」とは何でしょうか
交通事故の損害賠償について、被害者側と加害者側が話し合い、支払額や支払方法などの条件に合意して解決することを、一般に示談と呼びます。国土交通省の案内でも、当事者間での一般的な賠償問題の解決方法として、示談、調停、裁判、和解などが紹介されています。
示談書には、「この金額を受け取る」「これをもって本件を解決する」といった趣旨の条項が入ることがあります。文言や対象範囲は案件ごとに異なります。よく分からない言葉があるまま、電話で即答したり、書類へ署名したりする必要はありません。まず写しを手元に置き、何が含まれ、何が含まれていないのかを確認してください。
医学的な治療の終了と、賠償上の示談は別の判断です。保険会社から示談案が届いたことだけで、体が治ったことになるわけではありません。一方、症状があるから希望どおりの賠償が必ず認められるとも限りません。「体の状態」と「保険・法律の判断」を分けると、相談先が見えやすくなります。
確認1:治療は本当に一区切りついていますか
最初に確認したいのは、現在の首や腰の状態です。「痛みはゼロではないけれど、治療は終わってよいのか」「まだリハビリを続ける意味があるのか」「今後、どのくらいの期間で何を目指すのか」を担当医へ率直に聞いてください。
診察では、痛みの強さだけでなく、首や腰の動き、筋力、感覚、反射、仕事や家事で困る動作、治療への反応などを確認します。治療を続けるか、内容を変えるか、一区切りとするかは、こうした情報を合わせて医学的に考えます。保険会社の支払対応が終わる日と、医学的に治療が不要になる日は必ずしも同じではありません。
「もう良くならない気がする」と自己判断で通院を止める前にもご相談ください。反対に、示談を遅らせる目的だけで医学的に必要のない治療を続けることも適切ではありません。治療の目的は、回復できる機能を取り戻し、日常生活へ安全に戻ることです。

確認2:事故後に発生した費用や生活への影響に漏れはありませんか
示談案を見るときは、金額の大小だけではなく、「何の項目が入っているか」を確認します。自賠責保険の傷害による損害には、治療関係費、文書料、休業損害、慰謝料などがあります。ただし、実際に対象になるか、どのように算定されるかは事故状況、証明資料、保険契約などで変わります。
診察券や処方内容だけでなく、通院交通費、診断書などの文書料、仕事を休んだ日、有給休暇を使った日、家事や育児でできなかったことも、日付順に整理しておくと確認しやすくなります。領収書、交通事故証明書、保険会社との書面やメールは、示談が終わるまでまとめて保管しましょう。
国土交通省が公開する「交通事故被害者ノート」も、事故の概要や説明された内容、困りごとを記録する形になっています。記憶だけに頼らず、短くても日付のある記録を残すことは、医師、保険会社、勤務先、相談窓口へ同じ経過を説明する負担を減らします。
1枚のメモにまとめるなら
- 事故日、受診日、検査日、治療内容
- 首・腰・肩・膝など、症状の場所と変化
- 運転、デスクワーク、持ち上げ、睡眠など困る動作
- 欠勤・早退・有給休暇、家事や育児への影響
- 通院交通費、薬代、文書料などの領収書
- 保険会社から説明を受けた日、担当者、内容

確認3:今後の症状について、誰に何を相談するか決まっていますか
首の痛みや腰痛が続いていると、「あとから悪化したらどうしよう」「後遺障害に関係するのか」と不安になります。将来を完全に予測することはできませんが、現在の医学的な状態と、再受診が必要な症状は担当医へ確認できます。
診察・検査・薬・リハビリについては医療機関、治療費の支払や保険契約は保険会社、示談条件や過失割合などの法的判断は弁護士や公的な交通事故相談窓口が相談先です。国土交通省は、地方公共団体の交通事故相談所や、交通事故紛争処理センターなど複数の相談窓口を案内しています。
「クリニックから保険会社へ、示談しないよう言ってほしい」とお願いされることがありますが、医療機関が交渉を代行することはできません。私たちができるのは、患者さんを診察し、必要な医療を行い、確認した症状・所見・治療経過を診療録へ残すことです。
示談書を見る前のチェックリスト
- □ 人身損害と物損のどちらについての書類か
- □ 治療費、通院交通費、休業損害、慰謝料などの内訳が分かるか
- □ すでに受け取った金額や立替金がどう扱われているか
- □ 現在の症状と治療方針を担当医へ確認したか
- □ 疑問点を保険会社へ書面で質問したか
- □ 必要なら弁護士や公的相談窓口へ相談したか
これは一般的な確認項目です。過失割合、加害者が無保険の場合、仕事中・通勤中の事故、後遺障害の申請を検討している場合などは、確認すべき内容が増えることがあります。個別の示談案を医学的な診察だけで判断することはできません。
こんな言葉だけで判断しないでください
「みんなこの金額です」「今日中に返事が必要です」「通院日数が少ないから仕方ありません」と言われても、疑問が残るなら根拠と期限を確認しましょう。担当者が急いでいるように感じても、ご自身が理解できていない書類へ慌てて署名する必要はありません。
ただし、請求や手続には期限があるものもあります。放置するのではなく、「いつまでに、何を確認して返事をすればよいですか」と聞き、相談先へ早めにつなぐことが大切です。保険会社との会話は、日時と要点をメモしておくと後から整理できます。
最後の診察で聞いておきたいこと
治療が一区切りになりそうなときは、「今できる動作と、まだ難しい動作」「薬やリハビリによる変化」「自宅で続ける運動」「再受診が必要な変化」を確認しましょう。治療終了は、明日から何の症状も出ないという保証ではありません。ご自身で体調を管理する段階へ移るなら、その目安を知っておくことが大切です。
医師へ「示談してよいですか」と尋ねても、示談書の条項や賠償額までは判断できません。「現在の医学的な状態はどうか」「治療の目的は達成できたか」「今後も改善が見込まれる治療があるか」と質問を分けると、診察で答えられる内容が明確になります。
診断書や診療明細書が必要な場合は、提出先と目的を受付へ伝えてください。書類は作成に日数がかかることがあります。また、事故後の全期間を一つの医療機関だけで診ていない場合、転医前の経過は前医の記録が必要です。示談の期限直前に慌てないよう、必要書類を早めに確認しておきましょう。
示談より先に救急受診を考えたい症状
事故後に次の症状が出た場合は、書類の確認より医療を優先してください。
- 強くなる頭痛、繰り返す嘔吐、意識がぼんやりする
- 片側の手足に力が入らない、ろれつが回らない
- 新しく強いしびれが出た、歩きにくくなった
- 首や背中の激痛、呼吸しにくい、胸や腹部が強く痛む
- 排尿・排便の異常、股の周囲の感覚低下
夜間や休日でも、緊急性が高いと感じたら119番を利用してください。ご自身での長距離運転は避けましょう。

真岡市から受診を検討している方へ
真岡市から下野市方面へ通勤している方は、仕事の前後に通える場所へ転医したいと考えることもあるでしょう。駅東ラッコ整形外科クリニックでは、交通事故後の首、腰、肩、膝などを診察し、必要に応じて画像検査、薬、リハビリテーションを検討します。
すでに他院を受診している場合は、紹介状、画像データ、お薬手帳、これまでの経過が分かるメモをお持ちください。転医前には、保険会社へ医療機関を変更したい旨と、費用の取扱いを確認しておくと手続が進みやすくなります。
よくあるご質問(Q&A)
Q.保険会社から示談書が届きました。クリニックで内容を見てもらえますか?
A.現在の症状や治療経過について医学的な説明はできますが、示談条件の妥当性や法的な有利・不利は判断できません。保険会社へ内訳を確認し、必要に応じて弁護士や交通事故相談所へご相談ください。
Q.まだ首が痛いのに、示談の話が出ています。
A.まず診察で症状と治療の見通しを確認しましょう。そのうえで、保険会社へ現在も治療中であることを伝え、提示内容と回答期限を確認してください。
Q.示談を断れば治療費はずっと支払われますか?
A.示談を保留することと、保険会社の治療費対応が続くことは同じではありません。支払の取扱いは個別に確認が必要です。医学的な治療継続の必要性は担当医へ、費用は保険会社へ相談してください。
Q.電話で了承しました。もう変更できませんか?
A.合意の成立や変更可能性は、やり取りの内容によって判断が異なる法律上の問題です。書面や通話メモを準備し、早めに専門家へ相談してください。
Q.示談後に痛みが強くなった場合、受診できますか?
A.医療機関の受診はできます。ただし費用負担や追加請求の可否は別問題です。急な悪化や神経症状があれば、費用の確認を待たず医療を優先してください。
示談の相談を受けたとき、診察で最初に確認するのは金額ではなく、患者さんの現在の症状と生活上の支障です。保険の手続と医学的な治療を混同せず、それぞれの相談先へ早めにつなぐことが大切です。
まとめ
示談案が届いたら、まず「治療は一区切りついているか」「事故後の費用や生活への影響に漏れがないか」「今後の疑問を誰へ相談するか」の3点を確認しましょう。示談を必要以上に怖がる必要はありませんが、分からないまま急いで決める必要もありません。
参考:国土交通省「損害賠償を受けるときは?」、国土交通省「相談先にお困りのときは?」、国土交通省「交通事故被害者ノート」
この記事は一般的な医療・制度情報を提供するもので、個別の診断、法律相談、保険金額の判断に代わるものではありません。制度や契約内容は変更される場合があります。具体的な手続は保険会社、警察、弁護士などの専門窓口へご確認ください。
駅東ラッコ整形外科院長 山中卓哉
関連記事(内部リンク)
交通事故に遭ったらまずは「駅東ラッコ整形外科クリニック」へ

当院では診察の前に、まず患者さんお一人おひとりへ心を込めてご挨拶をいたします。私たちが何よりも大切にしているのは、医療機関という枠組みにとらわれず、常に「患者さんの立場」に立って、本当に必要とされている治療をご提案することです。単に「怪我を治す」だけでなく、不安を抱えた「患者さんご自身を治す」という原点を決して忘れることはありません。ラッコが大切な家族を守るように、私たちも誠実で素直な心を持ち、人として当たり前の思いやりを大切にしています。最善の結果を得るために、日々の診察に真摯に向き合い、下野市の皆様に寄り添い続けてまいります。









